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荒野の化石スナイパー

こんばんは、葛です。固めSS新作です。

今日はアニメ化も決まったソード・アート・オンライン ファントム・バレット編よりシノンの化石化です。
ソードアート・オンライン(6) ファントム・バレット (電撃文庫)ソードアート・オンライン(6) ファントム・バレット (電撃文庫)
(2010/12/10)
川原 礫

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この画像だと少し見づらいですが右側の青い髪の女の子がシノンです。
ファントム・バレット編の収録されているSAO5巻6巻をこの前読み終わったばかりなんですが、とても良かったですね。
今までのSAOの積み上げてきた話を活かしつつ、スナイパーの女の子シノンに焦点を当てた物語は、個人的にはこれまででも一番好きでした。アニメ化が待ち遠しいです。

今回の固めSSは5巻の内容が開始する前辺りのシノンがソロで戦っている時期を想定して書いています。
細かい部分でつじつまの合わない部分もあると思いますが、シノンを化石にするためです。お許しください。

固めフェチの方は、続きからどうぞ。







銃と鋼鉄のVRMMOガンゲイル・オンライン。魔法やファンタジーの世界観とは一線を画す、実在の銃火器を装備してプレイしていくハードなネットゲームとして人気を博している。
現実世界からダイブしたプレイヤーは、視覚を始めとして感覚をGGOという別世界に移して退廃した世界での生き様を楽しむ事ができる。
GGOにはゲーム内での通貨とリアルマネーを交換できるシステムも実装されているため、このゲームに文字通り稼ぎに来ているプレイヤーも存在する。
銃火器オンリーの世界観も相まった殺伐とした空気は、ガンゲイル・オンラインという別世界の特色であり、魅力でもあった。
スナイパーの少女シノンもこの世界にある意味で魅せられた一人だった。
彼女は元々銃が好きだったわけではなく、このゲームを始めたきっかけにも込み入った事情がある。
それでもGGOで『強くなる』事は彼女にとって大切な事である。このゲームは現実世界での彼女「朝田詩乃」にとっても、もう一人の強い自分「シノン」として生きられる世界だった。
相棒のライフル「ヘカートⅡ」を抱え、一匹狼のスナイパーとして生きる青髪碧眼の美少女シノンの名はガンゲイル・オンラインでも多くのプレイヤーが知る実力者だった。

そして今、シノンは荒野で石になっていた。
(どういう事よ……これ……)
岩陰から身体を伏せてヘカートⅡの照準をボスモンスターに合わせた瞬間だった。スコープ越しに見えた巨大蛇の目が光り、気付けば引き金を引くことができなくなっていた。
このゲームで一般的な行動停止の状態異常といえば麻痺であり、シノンも最初は麻痺攻撃を考えた。だが、麻痺にしては身体があまりにも動かない。スコープを覗いた目と反対側の瞼は動かす事すらできない。
シノンは、狩りに出る前に町で見た、イベント限定の状態異常の存在を思い返していた。
(石化……かな……)
そう結論付けたのは、シノンが固まってから15分は経ってからだった。麻痺の解除時間はとっくに過ぎている。戦場でもしこれだけの時間一つ所に留まっていたら即ゲームオーバーになるだろう。
スコープ越しにしか視界が残らないまま固まったシノンは、自分がどういった状態にあるのか全く分からなかった。一番の気がかりは、石化によるHP全損とそれに伴う装備のロストだ。ヘカートⅡを失ってしまってはこの世界にどれだけいられるかわからない。スナイパーとしても、心の拠り所としても。
幸か不幸か、その心配は無かった。シノンはその装備もろともまるごと岩になっていたのだから。

(確か石化すると、半日はずっとその場にフィールドオブジェクトとして留まらないといけないんだっけ……その分救済措置として、後で経験値とアイテムが入るとかなんとか。全く、変なイベントを考える物だわ)
一人暮らしとはいえ、こんな荒野のど真ん中でオブジェになっている程の暇を持て余しているわけでもなかった。シノンは討伐の失敗を反省して、ログアウトしようとした。が。
(押せない……!身体自体が……全然動かない……!)
ログアウトするためのコマンドリストを開くには、自分でメニューを起動させないといけない。しかし、今の『シノン』は完全に岩の塊になっているので、そもそもメニューを開く動作からしてできなかったのだ。
(何よ……!完全にシステムの設計ミスじゃない!それじゃずっとこのまま……ここで石に……)
ぞっとする想像がシノンを襲った。もちろん、シノンがこのVR世界で意識を失う、すなわち「寝落ち」をすれば自然とシノンのキャラクターもログアウトされるだろう。
しかし、それまではずっとこの石の身体と付き合っていかなくてはならない。仮想世界とはいえ、石になった子の身体にも寒さや痛さをある程度は感じる。
そして何よりシノンは女の子である。スナイパーとはいえ、軽装でお尻を突き出しながら狙撃態勢で固まっている姿を他人に見られるのは途方もなく恥ずかしかった。
(どうか、誰も来ないでよ……)
石化したシノンの長い一日が始まった。


石化して30分。シノンの肌に久々に触れる感触は、動物の舌だった。野生のリスが、シノンのほっぺたや腋の下をもぞもぞ住処にしようとしていた。
(ひゃああああ!?)
くすぐったい。これがもしプレイヤーキャラクターだったら間違いなくハラスメント行為で訴える所だろうが、今のただのフィールドオブジェクト。マップを小動物がランダムに移動しているだけである。
リスは何分間かシノンの体中をまさぐって去っていった。
(覚えてなさいよ……)
シノンは石の身体で意識を悶えさせていた。

石化して1時間。今度は荒野に雨が降ってきた。
(いつもは何も変化無い癖に、こういう時に限って……)
ずぶぬれになったシノンの岩は、薄い茶色を少し濃く染めた化石の様に雨粒を光らせた。

石化してから3時間。シノンの傍にプレイヤーキャラの声が聴こえた。
(助かった……?)
石化を治療するアイテムが実装されているかは分からない。しかし、せめてこの荒野に打ち捨てられている石像をもう少し目立たない場所に移してくれる心優しいプレイヤーがいれば……。
「おい、見ろよ。石化してるぜ」
「本当にあるんだな。しかも女だ」
「いい尻してるなあ。ちょっと顔を見てやろう」
男三人が石化した自分を見て下世話な話に花を咲かしている。この場にまだ固まった女の子の意識が残されている事など思いもしない。
あまつさえ、剣先で自分の衣服や装備をコツンコツンと突き出した。
それは石化したシノンが初めて実感する、自分の身体の硬さを証明する音だった。怖かった。
(や、やめて。何をするの)
男たちはシノンの脚を掴んで、亀をひっくり返すように石像を仰向けに転がした。腹ばいになっていたシノンの無防備な半身が晒される。
「なあ、こいつもしかしてシノンじゃないか?」
「シノンって、あのスナイパーの?へえ、案外間抜けなんだな」
「ちょっと証拠にスクショでも撮っておこうぜ。いいネタになる」
(やめて……お願い……)
忘れていた。この世界にもまた悪意はある事。GGOでは珍しいF(女性)型のプレイヤーであるシノンに無遠慮な視線を向けるプレイヤーはこれまでも多くいた事。
(こんな姿見られたら……私……)
GGOに居られなくなる。そうしたらどうする?自分の居場所は?克服するべき自分の弱さは?どうしたらいいか分からない。シノンは窮地に立たされていた。その時。
「な、何だあの化け物!」
「やばい、あれがボスだ!」
「おい、逃げるぞ!あ、うわあああああ!!!」
三人分の悲鳴が聴こえて、スコープの視界の端にさっきシノンを石にした巨大蛇が見えた。男たちはボスモンスターの攻撃であっという間にロストしてしまったらしい。
(いい気味ね……)
シノンは石の身体で自嘲気味に考えた。そもそもあの怪物が自分を石にしなければこんな惨めな思いもしなくて済んだのにとは思えど、蛇が男共を追い払った事で少し安堵した。
仰向けにされたシノンの彫像は、再び降り始めた雨をその身に受けてしばらく荒野に放置された。現実時間の日付が変わる頃に、シノンの意識も闇に落ちてログアウトして。後には石像だけが残された。


翌日、いつもより肩こりのひどいシノンがガンゲイル・オンラインに再びログインすると、身体は元に戻っていた。
それなりの経験値とお金も増えている。昨日石になっていた時間中ずっと通常の雑魚敵を狩り続けるよりも多い数値だ。
「全然割に合わないけどね。でも良かった。このままずっと石のオブジェになっていろと言われたらどうしようかと」
その矢先、アイテム欄に見慣れない表示が増えている事に気づいた。
「え……と、シノンの化石?……何だか凄く嫌な予感がする」
カーソルを合わせてアイテムを出現させると、目の前に石になったシノンが出現した。スコープの照準を合わせて腹ばいになった昨日の姿のまま、無理矢理二本足で立っている。昨日石化された『シノン』そのものだった。
「何これ」
アイテム説明を見るとこう書かれていた。
『モンスターとの戦いで不運にも化石になってしまったシノンの姿。昨日までの自分に戻りたい時は、再びこの身体に入る事が出来る』
「何よ……この身体は新しいもので、昨日までのシノンは石になっちゃったって事?」
今の身体は昨日までと特別な変わりはない。この表記もある種イベントの一種なのだろう。
「キャラの同一性にこだわる人とか激怒するんじゃないかな……あれ、続きがある」
『尚、石の身体に潜る間は経験値が自動で加算される。同一プレイヤー以外は潜る事ができないが、盗難には注意する事』
「……………いやー、流石に、ねえ」


その後しばらくして、シノンは時々『自発的に』化する様になった。シノンの化石を使うと、その時に取ったポーズのまま今のシノンが石化して経験値が加算されていく仕組みだ。
石化している間は攻撃を一切受け付けないので、いざという時の防御にも使える。
(使用できるのも期間限定みたいだし、少しくらいならいいかな……)
洞窟の奥で防御のために石化したシノンがぼんやりと考える。慣れれば石化も楽しい……のかもしれない。
この後、石化したシノンは後から来たプレイヤーに宝と間違えられて高額で売り飛ばされる目に逢った。流石に懲りたシノンは自ら石化する事はなくなったが、その後も着替え最中に誤ってアイテム欄を押してしまい下着姿の彫像として更衣室に飾られる羽目に逢うなど、トラブルは尽きなかった。
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葛

Author:葛
石化や凍結等を扱った固めSSを書いて投稿しています。
月姫リメイクとFLOWERS秋篇が今の生きる希望です。
琥珀さんとエイラ・イルマタル・ユーティライネンを石化する事にかけては誰にも負けません。

固め以外にもアニメとゲームと映画とクラシックなどが好きです。
装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。
折角だから装甲悪鬼村正をやりましょう。

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