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石の目のお嬢様

こんばんは、葛です。日曜日が終わってしまいましたが固めSS新作です。石化。
今日は珍しくオリジナルで、ちゃんとキャラクターもある程度考えながら物語風に書いてみました。
視点がよく入れ替わるので、今までの固めSSとはちょっと勝手が違うかもしれませんが、楽しんでいただければと思います。

それでは、固めフェチの方は、続きからどうぞ。






朝の日差しで起きるのは久しぶりな気がする。そうだ、今日はアイマスクをしてない。思ったより暖かいな……たまにはメイドが起こしに来る前に起きてるのもいいかも。驚くだろうな。
もぞもぞ、がばっ
「あ……!お嬢様、まだお待ちになって下さい……!」
「ふぁぁ……ん……?」
「あうっ……」
ぱきっ
ドアの方で音がした気がする。まずいかも。視界がはっきりしてくると、ドアの前に見慣れないインテリアが増えていた。石像だ。うちのメイド服を着て、私のために持ってきてくれた食事を抱えている。この子は運が悪かった。いつもならこの時間、わたしは目隠しをして寝ている。
「あぁ……またやっちゃったかあ……」
まじまじと新しいインテリアの顔を眺める。小柄で髪を後ろに結んでいる。頭の先から持っていた食事ごと灰色に染まってるから、元はどんな髪の毛だったかもわからない。でも、この屋敷に採用する時に見たから顔写真と、あと声は覚えてる。いかにも田舎の村娘って感じの服だった。ちょっとちゃんとした服にするだけで、こんなに可愛くなってたなんて。勿体ないことしたなあ。名前は……アン……アンヌちゃん……だったかな?良く覚えてなくてごめんね。後でメイド長に訊いてみるから。
「ごめんねアンヌちゃん。わたし、こんなだから。今みたいなことがあると、時々アンヌちゃんみたいに石になっちゃう子がいるの。せっかく入ってきてくれたばかりなのに全然お仕事させてあげられなかった……でも、安心して。ちゃんと仕送りは代わりに続けるし、あなただってずっと綺麗にして飾ってあげるから」
目が合った人を石化させてしまう私の目。確か、今年に入ってからはアンヌちゃんが二人目だと思う。これでも少なくはなってきたんだ。長く勤めてる子たちは流石に勝手も警戒の仕方も知ってるからこんなミスは起こらないんだけど、来たばかりの子は、慣れてないし、あまり知らないわけだから、こういう時に石化しちゃう。でも今日は私のもともと起きる時間とはちゃんとずらして来てたんだから……アンヌちゃんとばっちりだな……うん。確か妹さんに仕送りしてるとか言ってた気がする。『このこと』を知らせられるわけじゃないけれど、少し多めに送ってあげなくちゃ。
「セレナ…?……うん、ううんそうじゃないの、大変なんだってば。私また石にしちゃったみたいで……名前?多分アンヌちゃん。あ、そうなの?わかった。すぐにきてね」
事の次第をメイド長のセレナに連絡する。驚いてたけど、何だか慣れてきたみたい。あと、この子の名前はアンヌちゃんだと思ってたけど、アンナちゃんだった。間違って覚えてた。危なかったな、台座に間違った名前を刻んだらずーっと残っちゃう所だったよ。
と、こうしてる場合じゃない。アイマスクどこ行ったかな。私と目が合ったら問答無用で人は石になる。流石にセレナまで石化しちゃったら、わたしは明日から生きていく事なんて何一つできないんだから。
ベッドの下に落っこちていたアイマスクを拾い、インテリアの増えた部屋の風景と日差しにおさらばする。アンナちゃん、可愛かったなあ。暗いのは相変わらずイヤだけど、もうすぐセレナがやってくる。



メノウお嬢様にも困ったものです。「またやっちゃった」じゃないですよもう。せっかくいい子が入ったと思ったのに……本当、困ります。アンナは仕事の覚えは早いわけではありませんでしたが、非常に器用な子でした。特にパイを焼くのが非常に上手くて、お嬢様にお出ししてもきっと喜んで頂けるものでした。朝食と一緒に一切れ、持って行ったはずでしが……ああ、やっぱり。アンナと一緒に石になってます。流石にこれは食べるわけにはいきません。惜しいですね……。
「お嬢様、アンナの保管場所は如何いたしましょうか」
「そうね。いつも通りでいいんじゃない?台座も早めに造ってあげて。朝食はまだいらないわ」
「畏まりました。うんしょ……」
お嬢様の朝食ごと石になったアンナを荷台に乗せる。小柄ながら、私の口先位までの背はある。コツをつかんだとはいえ、これだけの大きな石像を運ぶのはやはり大変で、荷台に乗せるのが精いっぱいです。頭を抱えて、傷をつけない様慎重に横に倒そうとすると、アンナと目が合いました。とはいえ、石像の目は虚ろで、ぴったりと焦点が合せられるわけではありません。ただ、戸惑ったようなその表情を見て、改めて可愛らしい子だったなとは思います。最後にお嬢様の顔を直接見る事ができたのは、羨ましくもあります。
「私も、いつかは……」
「ん?どうしたのセレナ」
「いえ、何でもありません。朝食は後ほどお持ちします」
「悪いわね。お願いするわ」
今はメノウお嬢様も人としての私を必要として下さっている。いつかはその瞳で私もまたお嬢様を楽しませる庭の飾りとなるとしても、今はまだメイド長として仕えられる喜びを噛みしめていたい。そのためにも今は、アンナを庭の石像たちに仲間入りさせなくては。台座の手配も、お嬢様の朝食を作り直す事も、やる事は色々あるのです。




一緒に頑張ろうって言ってくれたの。アンナちゃん、凄くいい子だった。もうどれくらい前になるだろう。丁度私が来る1日前から働いてて、同じくらい不安なはずなのにいつも「大丈夫だよメイちゃん」って励ましてくれた。今私が磨いているのがそのアンナちゃんだなんて、やっぱり信じたくない。この庭には沢山メイドさんの石像があるけど、やっぱり皆元はここで働いていた人たちなんだなって思うと、すごくこわい。やっぱり、驚いた顔をしている子が多いな……でも、このお姉さんは笑ってる。私たちと少しデザインの違うエプロンもしてるし、もしかしたら料理の担当だったのかも。こっちの女の子は、私たちと全然違う格好をしてるし、凄く怖がってるみたい。ここで働いていた人じゃなかったのかも……。こんな山奥の屋敷に、何をしに来たんだろう。……お嬢様に、恨みとか、あったのかな。でも、やってきたはいいけど、結局自分も石にされちゃって……。
「わたし、どうしたらいいんだろう……」
アンナちゃんを磨く手が止まってた。いけない。石像になっちゃったのなら、せめてずっと綺麗でいたいよね……。アンナちゃんだけじゃない。ここに居る人たちだって、汚れて忘れられて埋もれていくなんて、望んでないはずだ。わたしがこのお庭の担当になる前から、この人たちはずっと綺麗に磨かれ続けていたみたい。最近は、前のお庭担当の人がいなくなって私に変わって、その間はあまり掃除が行き届いていなかった。
「わたしが、綺麗にしてあげるからね……」
そうだ。この人たちをただの石像にしちゃいけない。このお屋敷を飾る、立派な石像でいてもらわないと。それがせめてもの、今の私にできる事。




迂闊だった。ずっと準備をしてたのに、メノウを倒すためにずっと可哀想な石像たちを磨き続けて、従順なメイドを演じていたはずなのに、あいつは全部わかってたんだ。私の気持ち。お姉ちゃんを奪っていって、急に仕送りは増えたけど、手紙はお姉ちゃんのじゃなかった。おかしいと思うわよ。お姉ちゃんの名前、アンネじゃないもの。いくら字を似せても妹の私にわからないわけないじゃない。あいつ、私の名前まで間違えてた。私はアリーヌよ、アリスじゃない。この庭で初めて石になったお姉ちゃんを見た時は、凄く驚いたし、不安が的中したと思ったわ。大事にしないわけないじゃない。凄く頑張って、働きを認めてもらって、この石像の庭の担当にしてもらった。他のみんなも、凄く綺麗な子ばかりだった。いつか元に戻ったお姉ちゃんを連れて帰りたいと思って必死に屋敷中調べたけれど、石化を解く方法何てどこにも見つからなかった。ただ、あいつ、メノウを倒してしまえば、皆の石化の呪いも解けるかも知れないと思ったの。
「なのに……どうして……」
「私に恨みがあるなら、もっと上手く立ち回るべきだったと思うわ。貴女の私を見る目、怖かったし……アリスちゃんだっけ?お姉さんの事は確かに悪いと思ったけれど、お金はちゃんと届いたはずよ。貴女もこの屋敷に来たのだと思ったけれど、違ったみたい。残念ね」
(そんな勝手な!)
そう叫び返してやりたかったが、声が出ない。声どころか、身体が動かない。ああ、そうだ。私は見てしまったんだ。『お嬢様』の瞳を。お姉ちゃんとお揃いの自慢の髪も、ここに来て着せられたメイド服も、灰色に染まる。身体が文字通り硬くなっていき、メノウに襲い掛かろうと得物を振りかぶったまま、私の動きは静止している。自分の姿は見えないけれど、確かに私は石になっている。そんな感覚がある。
「貴女もお姉さんににてとても可愛いわ。特別に、アンナちゃんの隣に飾ってあげる。きっと、素晴らしい彫刻になれるわ。作った私が保証します」
そんな事、聴きたかったんじゃない。私がもう一度聴きたかったのは、あの優しかったお姉ちゃんの声で、でもお姉ちゃんはもう石になって、それどころか私まで石になって……ああ、こんなこと、いやだよ。
だんだん考える……こと、も……うまく……できな……
「人は自分の身体があるからこそ、自分の思いを感じる事ができるの。でも、石の身体に宿った貴女の魂は、どうなるのかしらね。一度訊いてみたいのだけれど、今まで応えてくれた子はまだ誰もいないの。貴女も……無理みたいね。アリーヌちゃん」
おでこ…つつかれた…気……がする。そう…か…。石だから……私の考えも……いし……と…おな……じ………………………
「セレナ?ええ、そう。アリーヌちゃん。違うわ。今日は向こうから襲い掛かって来たの。うん。わかった。こういう事もあるわよね。彼女のお姉さん、いたじゃない。庭に。一緒に飾ってあげて。その方が喜ぶと思うから」




張り紙広告
・山奥の洋館は、いつでも働きに来てくれるメイドを探しています。
住居:屋敷住まい 食事:1日3食 賃金:相談の上、能力に応じた高待遇を保証

村に時々貼られるこの張り紙は、苦しい生活を送る村人にとっては非常に魅力的なものだった。時々村娘が志願しては、屋敷へメイドの仕事に行き、仕送りを送っては少しづつ便りが消えていく。絶えない仕送りは村人にとって大きな助けとなったが、肝心の手紙は大抵ある程度時が経つと急激に少なくなる。まるで勤めに行った村娘が消えてしまうような不安の中で、生まれた噂があった。
「山のお屋敷の主人は、石の目を持っている」
石の目というのが何か、村人にはわからない。何かの暗喩かもしれないし、石でできた義眼をはめているのかもしれない。
石の目の本当の姿を見る事ができたのは、屋敷の庭の石像となっている、彼女たちだけだった。







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葛

Author:葛
石化や凍結等を扱った固めSSを書いて投稿しています。
月姫リメイクとFLOWERS秋篇が今の生きる希望です。
琥珀さんとエイラ・イルマタル・ユーティライネンを石化する事にかけては誰にも負けません。

固め以外にもアニメとゲームと映画とクラシックなどが好きです。
装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。
折角だから装甲悪鬼村正をやりましょう。

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