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除夜の双子鐘

こんばんは!ギリギリセーフ!葛です。

今年最後の固めSS更新です。除夜の鐘化です。
舞台は月姫。翡翠と琥珀さんが固まります。
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この双子の姉妹ですね。右が琥珀さんで、左が翡翠です。

R-18Gとしますので、苦手な方は避けてください。

それでは、良いお年を!








大晦日。師走の忙しさも一段落して、今日ばかりは蕎麦を食べながらゆっくりと過ごす。それはここ三咲町においても一般的な風景だった。ここ一帯を総べる実業家の遠野家においても例外ではない。
当主の遠野秋葉は普段は女子高生でありながら、様々な事情から実業家としての遠野家の実務を一手にこなしている。12月は何かと仕事も舞い込み、ようやく落ち着いて家族と過ごせる一日だった。

だというのに、兄であり唯一の肉親である遠野志貴は大晦日だというのに親友の家まで遊びに行ってしまった。遠野家の門限からすれば夜中まで遊び歩くことなどもってのほかだが、経験上こういう時に兄が帰ってこないのは分かっていた。
確かに遠野家のリビングルームにテレビはなく、年越しを歌合戦見ながらだらだら過ごすという事はまず考えられない。最近まで親族の元に預けられそうした生活になれた志貴にとっては確かに退屈なのかもしれない。現在家には秋葉のほか、双子の使用人、翡翠と琥珀の三人だけである。

年の瀬になっても使用人の忙しさは変わらない。秋葉は邪魔するのも良くないと思い、10分程前に琥珀にお茶を淹れさせた他は各自の仕事に戻らせた。黒髪の長髪をたなびかせ優雅にお茶を飲む姿は深窓の令嬢といった雰囲気で、やや大きすぎるこの館にもよく似合う。実際お嬢様であることは間違いないが、歴とした権力も政治手腕も持つ一癖も二癖もあるお嬢様である。

夜も更けてきて、世間一般には今頃お茶の間でテレビを肴に盛り上がる頃だろう。秋葉は本気で遠野家へのテレビ導入を考えたがすぐその思いを振り払った。
そんな時、いつの間にやってきたのか部屋に琥珀が入ってきた。いつもの通り和服の上にエプロンという装いに青いリボンを頭に付けた赤い髪の少女。常に静かな笑みを浮かべながら丁寧な口調で接して来るが、こういう妙なタイミングに現れた時は何か企んでいる事が多い。使用人と言っても子供の頃からの長く深い付き合いで、そうした些細な違和感を機敏に察知することは秋葉自身の身を守るためにも必要な術だった。
「もう今年も終わりですね。秋葉様」
「そうね。貴女も、今年もお疲れ様、琥珀」
「あら、秋葉様からそんなお言葉を頂くなんて、雪でも降っちゃうんじゃないですか」
「たまには良いんじゃない?ところで、今日はもうお仕事は終わりなのかしら」
「そのことなんですけどね。秋葉様」
来た。何でもない顔をして、かすかに目を輝かせる瞬間を見逃さない。
「除夜の鐘を、やりたくはありませんか?」


―――――――少しの間が開く。
秋葉はこういう思い付きをする時の琥珀の突拍子もなさをよく知っていた。それだけに出てきた提案が除夜の鐘というのは、普通すぎて些か拍子抜けだった。確かにこの近くで気軽に除夜の鐘を突けるような場所はなく、秋葉自身もそうした年越しイベントに参加する機会もほとんど無かった。兄の不在に憂さを晴らすために外出というのも、悪くはない。
「そうね―――――悪くないと思うけど、どこまで行くつもり?」
「ここです」
「―――――ここ?」
「ええ、このお屋敷で除夜の鐘ができたらさぞ楽しいだろうなと思いまして」
やっぱり嫌な予感は当たっていたらしい。

「琥珀。一応訊くけど、貴女はこの遠野家で、大晦日に除夜の鐘を造って、突こうと。そういう訳ね?」
「流石秋葉様!話が早くて大助かりです!」
「助からない!急にやってきて何かと思えば……そんなふざけた事できると思う?仮に造るとしても、鐘の材料も造る時間もあるわけないじゃない!」
「それがあるんです。今、鐘をお持ちしますね」
「ちょっと!」
完全に琥珀のペースである。秋葉はこの後またろくでもない事態になることを覚悟した。

が、覚悟しても足りなかったらしい。
琥珀が隣の部屋から持ってきたのは、緑色をした青銅の除夜の鐘……にはとうてい見えない、メイドのブロンズ像だった。よく見ると……よく見なくてもその姿は翡翠だった。エプロンドレスのスカートをふわりと広げ、カチューシャの先に紐がかけられ、物干し台に吊るされてぶらぶらと揺れている。琥珀とそっくりだがあまり表情を強く出さない端整な顔立ちに浮かぶかすかな怯えは「何をするの姉さん」とでも言っているみたいで……
「これは……どういうこと」
「翡翠ちゃんです。ちょっと、除夜の鐘になってもらいました」
「あのねえ!」
人がブロンズ像になるわけないじゃない、とは言えない。琥珀の事だ。また怪しげな薬でも作ったのだろう。そして、翡翠を手中に収めているということは、次の標的は他でもないく秋葉だった。
「後は鐘つき棒さえ手に入れば遠野家にも除夜の鐘がやって来ます。そんなわけで秋葉様。ぜひともお願いします」
「お願いされません!貴女って人は、もう――――!」
怪しげな薬で秋葉を鐘つき棒に変えようとしている事は間違いない。きっと大した理由はない。何となく面白そうだと思っただけなのだろう。
「はい、秋葉様。あーん」
琥珀が懐から薬の瓶を取り出した。やるなら、今しかない。
「いい加減にしなさい―――――――!この――――!」
秋葉が素早く伸ばした手に、琥珀の薬瓶が弾き飛ばされる。が、動じない。
「残念でした。こちらです」
二瓶目の薬を琥珀が取り出す。その隙を秋葉は逃さなかった。
「わかってる―――――そんなこと!」
秋葉の声が部屋に響き、髪の毛が、伸びた。
遠野秋葉が持つ、異能の血が、物語に出てくる怪異の様に秋葉の髪の毛を赤く染めて琥珀に向かって伸びていった。そのまま髪の毛が、琥珀の衣服のそこかしこに隠されていた薬瓶を全て割った。
「あっ!そんな、反則!ずるいです秋葉様!」
「うるさい!反省しなさい!琥珀!」
割れた瓶から漏れ出した薬が琥珀の全身に染み透っていく。パキパキと音をたてて、薬に触れた所が木に変わっていった。みるみる家に全身が薄茶色に染まる。
「あぁー!ちょっとした出来心……で……」
全て言い終わる前に、琥珀の全身が木像に変化した。髪を受けた拍子にひっこめて胸の前に手を当てており、立ったまま固まったその姿はこけしの様だった。頭の先から足の先までが一本の棒の様に固まり、着物の帯あたりに紐を巻きつけるのにちょうどよさそうな引っかかりがあった。
「鐘つき棒、ね」
秋葉は防衛本能から出した髪を引込めて、呟いた。


ゴン……ゴン……ゴッ……
屋敷内に鈍い金属を叩く音が響く。決して透りは良くなく、金属に木材を叩きつけるような重い音だった。
「何が除夜の鐘よ……全然響かないじゃない……!」
ゴンッ……
叩いているのは秋葉だった。物干し台に吊るされたブロンズ像の翡翠を、木像になった琥珀で叩いている。頭からスカートの辺りに上手くぶつけられた時は大きな音が出るが、お腹や顔に激突させると鈍い音がした。それは紛れもなく遠野家にある最上級の材料を使った双子の除夜の鐘だった。
ゴゥン……!
「あら、良い音」
固まったままの翡翠と琥珀は、屋敷内だけに響き渡る除夜の鐘の音を鳴らし続ける。現在50回を超えた所、108回まではまだ遠い。そろそろ年が明けてしまう。鐘を突く回数を早めていかなければ。
ゴン……ゴイィィィン……!
鐘は年明けまでに108回鳴らす事に間に合わず、翡翠と琥珀は除夜の鐘になったまま新年を迎えた。
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プロフィール

葛

Author:葛
石化や凍結等を扱った固めSSを書いて投稿しています。
月姫リメイクとFLOWERS秋篇が今の生きる希望です。
琥珀さんとエイラ・イルマタル・ユーティライネンを石化する事にかけては誰にも負けません。

固め以外にもアニメとゲームと映画とクラシックなどが好きです。
装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。
折角だから装甲悪鬼村正をやりましょう。

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