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手駒

こんばんは。葛です。固めSS新作です。

サモンナイト3のヘイゼル石化です。

割と暗い話。シリアス気味固め。

今の気分が沈みがちで眠いせいかもしれません。

固め好きの方は、続きからどうぞ。








無機質な白い壁に囲まれた狭い部屋。赤き手袋の暗殺者ヘイゼルはそこに閉じ込められていた。
白い壁と床を彼女の手から零れ落ちる血が赤く染める。それは彼女の血ではない。殺した相手、すなわちこの建物の住人の物だ。
簡単な任務だった。一人でもできると思った。研究者の皆殺し。戦闘に通じている者がいるとは思えない。ヘイゼル一人が送り込まれ、任務は着実に遂行された。殺した相手がどれだけの情報的価値を持つかはこの際関係ない。全ていなくなればいいのだから、ある種単純な話だ。
最後の一人をその手にかけた時、建物がおかしなプログラムを発動させた。


「……ちっ」
大きく巻いたマフラーの下で舌打ちをする。どうやらはめられたようだ。
研究員が全員死ねば発動する仕掛け?都合がよすぎる。こいつら、全員傀儡だったんじゃないのか。その手を赤く染めつつ、虚脱感をヘイゼルが襲う。しかし、時間はなかった。
天井が落ちてくる。避けるほかない。どこへ?仕方ない、そこの穴だ。
穴はスロープとなっていて、落ちた先は真っ白な小部屋。ヘイゼルが落ちるとスロープの入り口も閉じられ、完全な密室となった。
中から出られる様子はない。ならば道は一つ。このまま見捨てられる。無色の派閥はいかに有能な人材であっても使えないと判断された時点で切り捨てられる。ヘイゼル自身もそのプレッシャーと共に常に生きてきた。そして、成果を上げてきたのだ。今回もまた一人で打開策を見つける必要がある。
「でも閉じ込めてどうするつもりなのかしら……私に人質としての価値なんてないわ。もしどこかで見ているのならば、そのつもりでいなさい。時間の無駄よ」
ダミーの研究員とこんな大がかりな仕掛けまで用意してヘイゼルをはめた何者かへと言葉を向ける。すると部屋の隅から見知った声が聴こえてきた。


「ほう……そうか、人質として役には立たぬか、殊勝な心がけだなヘイゼル」
「オルドレイク様!?」
「ここに至るまで約2分と40秒。もちろん新記録だな。今までの奴らではダミーに返り討ちになる者ばかりでとても使えるものではなかった。やはり貴様は掘り出し物だヘイゼルよ」
「何をしようというのです」
ほぼ無表情だったヘイゼルの顔がこわばる。雇われの身とはいえ、オルドレイクには警戒心を持っている。しかしどんな無理難題を押し付けられても、それに応えられない限り、ここで生きていくことはできない。
「先ほど、自分には人質としての価値はないと言ったな?」
「はい」
「つまりはどんな拷問にも屈することはないという事だ。実際今まで貴様がそのような失態を犯した事実はない。その点においては心配していない」
「恐縮の至りです」
「ただそれだけでは少し足りぬのだよヘイゼル。貴様には女としての武器があろう。それを活用した試しがないというのは、些か勿体ない話ではないか」
「な……!?」
突然の侮辱。この私に姦婦となれとでも言うのかこの外道は。久しく忘れていた怒りと羞恥の感覚をマフラーの下に隠す。
「そう急くな……まだ幼い貴様にそのような事を押し付け上手くいくと考える程このオルドレイクは愚かではない」
どうだか、この男なら気まぐれでその程度の事やらせかねない。
「人質としての価値がないのなら、美術品としての価値を測ってやりたい。今日はそう考えたのだよヘイゼル」
「は?」
話が唐突に転換する。人質と美術品が何の関連があるというのだろうか。繋がりが希薄だ。
そう考えていると、部屋の中にガスが吹き込まれどんどん充満していった。
ヘイゼルは思わずマフラーで直接ガスを吸わないよう身構えたが、どうやら吸わなければいいという代物ではないらしい。
身体の感覚が麻痺してきている。視界がぼやけ灰色になる。このカチカチと音を立てて肌や物を硬くさせる現象には覚えがある。石化だ。このガスは石化作用のあるガスだ。
「くっ……身体が……」
全身を石化ガスに覆われ、みるみるうちにヘイゼルの身体は灰色に染まっていく。長い髪も、マフラーも、女として成長し始めた身体も全て、冷たく硬い石の塊となっていく。
(なんの……つもり……で……)
次にヘイゼルが言葉を発することはなかった。そこには暗殺者の少女が石像と化して立っている姿のみが残された。
「ほう……素晴らしい、素晴らしいぞヘイゼル。やはりお前は中々に美しい。ただ戦場の花とするには惜しい逸材だ。今日から1か月貴様に特別の休暇をやろう。その間派閥の争いは忘れて、その姿で周りの者たちの働きを悠々と見ているがいい」
何を勝手な、と思ったが声には出すことはできない。無論動けない。うつろな灰色の目で主人に抵抗の意を表すことなど不可能だった。
ヘイゼルを取り巻いていた石化ガスが晴れる。中から出てきた美少女像を派閥構成員が無造作に運びだしていった。ヘイゼル自身は一切の抵抗もできないままに。


それから一か月ヘイゼルは派閥の拠点の目立つところに常に飾られ続けていた。石化した自分の醜態を仲間や部下たちに晒すことはこの上ない屈辱だった。しかしそれと同時に、石化している今だけが、人殺しをしなくていい時間だと考えると、ヘイゼルの心はかき乱れた。とうの昔に諦めたはずの平穏や安らぎ。それこそ休息を与えられている。その事実に気づいてしまってからというもの、石化を元に戻されてから元の様に自分は暗殺者となれるだろうか。葛藤の日々を一か月続けた。


周りからの視線など、もう気にすることもできなくなっていた。


石となった中で希望への心が徐々に折れていき、1か月たち元の姿に戻った後は、一層仕事に打ち込まざるを得なかった。恐怖心ではなく、ただ、そうするしかないという諦めを強く実感してしまった石化の一か月だった。彼女は一か月前より更に「使える」ものになっていた。
「上出来だな、これからも期待していいだろう」
オルドレイクから下賤な笑みがこぼれる。ヘイゼルを上手く乗せた。これからまた無色の派閥は彼女の働きにより、目的を速やかに遂行できるようになるだろう。
彼女の心が解放される日は遠い。
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葛

Author:葛
石化や凍結等を扱った固めSSを書いて投稿しています。
月姫リメイクとFLOWERS秋篇が今の生きる希望です。
琥珀さんとエイラ・イルマタル・ユーティライネンを石化する事にかけては誰にも負けません。

固め以外にもアニメとゲームと映画とクラシックなどが好きです。
装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。
折角だから装甲悪鬼村正をやりましょう。

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