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狐神様

こんばんは、葛です。
また新しく固めSSが書けました。

石化封印を描いた物ですが、自分でも吃驚するほどバッドエンドです。不条理。白紙の未来を灰色に染めます。

それを踏まえた上で、重度の固めフェチの方のみ、続きからお読みください。



その昔、とある山に美しい狐神様が住んでいました。
狐神様は半神半狐、人間の形と狐の形を併せ持った美しい女神様でした。
凛としてそれでいてどこかあどけない顔立ち、ぴんと立った毛並みの揃った狐の耳と尻尾、優しく人々を見守る大きな釣り目、美しい着物…その姿を見たものは人間も獣も共に魅了されました。
それでいて、人間にも獣たちにも優しいまなざしを向け、常に山の事を想って暮らしていました。狐神様はその祈りで恵みの雨を降らせることができました。時々人里に下りては、人間たちにお狐様と慕われご馳走を振る舞われていました。
そんなお狐様に子供が生まれました。夫となったのは山の狐の若頭。生まれたのは可愛い可愛い女の子でした。女の子は獣の耳と尻尾を持ち、人間に近い姿で生まれてきました。女の子はすくすくと育ち、これまた世にも美しい稚児として山と人里皆から愛されるようになりました。おかあさま、おかあさまと狐神様の後ろをちょこちょことついていく姿はとても愛らしく、山の平穏の象徴でもありました。

しかしある年、狐神様に思わぬ不幸が舞い込みました。山に物凄い嵐がやってきて木々や里を荒らして廻ったのです。さらにその時に、夫の若い狐が土砂に流されて死んでしまったのです。

狐神様と娘は悲しみに包まれました。それだけではありません。それまで狐神様を慕っていた里の人間たちの中に、狐神様を悪く言う人間たちが現れたのです。
嵐が来るのが何故分からなかったのか、分かっていたなら何故止めてくれなかったのか。それまで天候を操っていた狐神様への不満がぶつけられたのです。彼らの中には嵐に家族を奪われてしまった人間もいました。しかもその嵐は未だ一向に止む気配がありません。
狐神様にしてみれば、夫を失った悲しみの上、自分の力の及ばない事にまでいわれなき言葉を浴びせられる事は身を切られるほどつらい物でした。それでも、人々のため、必死に嵐が収まるよう祈り続けました。娘もまた小さな手を合わせて、祈りました。

しかし天は残酷でした。嵐は収まるどころかより激しくなり、里も山も関係なく荒らしまわったのです。狐神様は戸惑いました。そして遂に、人間たちからこのような声がでてきてしまいました。
「嵐を呼んだのはあの狐だ!あの化け物はずっと人間を欺き続けて来たんだ!」
もちろん全ての人々がそう思っていたわけではありませんでした。しかし、時間が経つにつれそうした人間は増えていきました。一週間、二週間…一か月…いくら祈っても一向に嵐が収まらない事に業を煮やした人間はなおも祈りを続ける狐の親子を罵りました。
心の優しい狐神様は、それでも人々に言い訳をすることができませんでした。もしかしたら子供を産んだことで天候を操る力が弱まってしまったのかもしれない。そう気づいたのは、人々の中傷によって心がぼろぼろにされてしまった頃でした。狐神様は自分と同じく人間に罵られ続けながらも祈り続けるわが子を見ました。そこには涙を必死に堪えながら必死に祈り続ける女の子がいました。この腕に抱きかかえられた小さな子がいつの間にか自分の胸に迫るほどにまで背丈も成長している。その事実に狐神様はいたく心を打たれました。つらいことが続いてもなお必死に頑張る自分の娘の姿に勇気づけられたのです。

しかし事態は最悪の結末を迎えてしまいました。
一向に止まない嵐の原因を、人間たちは遂に狐の原因と断定したのです。そして、その原因となる「化け物」親子を石に封印してしまおうと考えました。
そうとは知らない狐神様親子はいつもの通りに里へ祈りに下りてきました。

「おかあさま、今日は雨はやみますか?」
「ええ、安心なさい。今日こそ嵐もどこかへ行ってくれます。お天道様も私たちを見ていてくれています」
「わかりました。がんばってお祈りします、おかあさま」
二人が会話しながら里に下り、いつも祈りの場としている高台に登りました。しかし様子がおかしいのです。いつもなら二人を取り囲んできたない言葉を浴びせてくる人間たちが今日はいません。その人間たちも、少し前までは狐神様たち家族をあたたかく歓迎してくれた人たちだと考えると、狐神様はどうしても怒る気になれず哀しみが胸を覆っていたのです。しかし、誰もいないのはおかしい。そう狐神様が思っている間に、娘の方が先に高台に辿り着き、お祈りを始めました。
「おてんとうさま、おねがいです。どうかこの雨をおしずめください」
娘が祈りの言葉を唱えたのを合図に、予め高台に描かれていた呪術の陣が怪しい光を浮かべました。
「山のため里のため、どうかおねがいします、雨をしずめてくださ…あれ…あれ…おかあさま…!?わたくし…からだが…からだがうごひまひぇ…!」
娘狐の身体に地面から発せられた光が浴びせられます。光を浴びた娘狐は全身の筋肉を硬直させられていました。しかも、その足下から徐々に、ぴしぴしと、音を立てて娘狐の身体が石になっているのです。
「おかあ…さま…!?おかあ…しゃま…!わた…くし…どうして…うご…け…いし…に…」
娘狐の細い脚も、狐神様が丹精込めて作った着物も、ぴょこんと生えた尻尾も、ふけば飛んでしまうような細い身体が、どんどんどんどん灰色に変わっていきます。神様の子孫と言えどその実は幼い女の子。目に一杯の涙を溜めて母に助けを求めます。
「たす…けて…お…かあ…さ…ま…」
しかしそれはもう手遅れな事でした。間もなくして、その柔らかなほっぺたも母親譲りの大きな釣り目も立派な耳も、完全に石と化してしまいました。少し前まで里を和ませていた狐の女の子は、今や人をかたどった狐の置物でした。その開かれた口から言葉が発せられることはもうないのです。

「いやああああああああああああああ!」
狐神様は半狂乱になって石となったわが子に駆け寄ります。しかしいくら呼びかけても、さすっても、問いかけても、石となった娘は元に戻りませんでした。
「何で…ひどい…返して…わたしの…」
娘の代わりに返ってきたのは、再び発動された石化の呪術でした。呪術は泣き叫ぶ狐神様の身体を縛り付け、またしても足下から石にしていきました。
「い…や…私は…なんの…ため…に…」
長く羽織った着物と共に、すらりと長い脚が、毛並みの素晴らしい尻尾が、柔らかなお腹が、お尻が、娘に飲ませてあげたおっぱいが、腕が、肩が、石化していきました。その絶望は計り知れません。ついにはその母にしてはあどけなさすぎる顔も耳も、完全な石となりました。
「……」「……」
人間の呪術によって石像となった美しい狐の母娘。
娘は祈りの印を結んだまま涙を浮かべて立ち、母に助けを叫んだ姿で石になっています。
母は娘に縋り付き、腰を崩して泣き叫びながらやや不安定な態勢で石になっています。
その姿は、とても、哀れで悲しい物でした。
二人の像はそのまま、この嵐が止むまで、激しい風雨に晒され続けたのです。
嵐が止んだのは、この里の人間たちを、流しつくした後でした。

それから1000年の時が経った今でも、二人の石像は高台に綺麗なままで佇んでいます。
決して朽ちぬその姿は、この地を訪れた人間たちを感動させ、親子の周りには簡素な祠が建てられました。今でも時々人々が訪れては、石化した狐親子をご神体として敬い、油揚げを置いては去っていきます。
もちろん石の身体のままである二人には、それを食べることは叶いません。それどころか、声を上げることも、動くこともできないのです。神性を持っているが故に、二人は石になってからずっと、意識を保ったままその苦しみを味わい続けているのです。その心がどうなってしまったか、知ることはできません。とうの昔に壊れてしまったかもしれませんし、頑張り屋さんな二人の事です、まだ人を信じて祈り続けているのかもしれません。

そんな事はつゆ知らず、この地を訪れた人々は、美しい親子狐の石像の美しさに、涙するのです。
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葛

Author:葛
石化や凍結等を扱った固めSSを書いて投稿しています。
月姫リメイクとFLOWERS秋篇が今の生きる希望です。
琥珀さんとエイラ・イルマタル・ユーティライネンを石化する事にかけては誰にも負けません。

固め以外にもアニメとゲームと映画とクラシックなどが好きです。
装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。
折角だから装甲悪鬼村正をやりましょう。

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